咀嚼が認知症の予防に有効なのだろう?①

      2024/07/10

年をとると、脳の神経細胞の数が減少するだけでなく、脳内の情報伝達に不可欠な神経伝達物質も減少し、脳内の神経回路網が錆びつき、認知機能がスムーズに機能しなくなっていきます。

しかし、よく噛むことによって、新しい記憶をファイルする海馬の神経細胞の数が増加し、

神経ネットワークが広がる可能性と、認知症と深い関係にある前頭前野の活性化が誘発されることが、

実験で確認されています。

 

 

・老化と認知機能

認知機能とは、物事を考えたり、判断したり、記憶したり、状況に応じて行動したり、

人とコミュニケーションをとったりするなど、日常生活をスムーズに送るための能力です。

つまり、外界から受けた刺激を、それが何であるか判断したり解釈したりする過程に不可欠な能力です。

 

年をとると脳の神経細胞の数が減少するだけでなく、残った神経細胞に老化による、

不要な物質がたまります。さらに神経細胞を活性化させるさまざまな酵素も減るので、

神経細胞内の代謝が悪くなるうえ、脳内の情報伝達に不可欠な神経伝達物質も減少し、

脳内の神経回路網が錆びつき、認知機能がスムーズに機能しなくなります。

 

また、思考や学習、推理、注意、意欲、喜怒哀楽のコントロール、言葉などと、

深いかかわりを持っているとされるのが脳の前頭連合野です。

旅行の目的地を決め、その途中何を見物して、どこで食事をするかといったような、

一連の空間移動を通して先を考えていく計画能力担っています。

人と出会った際に相手の地位や立場を認知して相応の対応をしたり、

知識として蓄積された記憶をもとに物事を創造する能力も、前頭連合野の働きです。

 

周囲の物体から自分のいる位置を認知して記憶する能力を空間認知能力といい、

高齢になるにつれ、誰でもこの能力は低下していくが、特に問題となるのが認知症です。

認知症の進行に伴って空間認知能力が低下すると、今いる場所が分からなくなったり、

家に帰れなくなったりします。

 

この空間認知能力を司っているのは脳の海馬です。脳内で加齢最も脆弱な海馬は、

物の大きさや形、位置、方向などを把握するという重要な働きをしており、

加齢に伴い海馬が委縮すると、空間認知能力も低下すると言われています。

 

 

空間認知能力の検定(モリスの水迷路学習実験)で噛めるマウスと噛めないマウスで実験したところ、

噛めるマウスより噛めないマウスの方が到達時間がかかりました。

年を取って噛む機能が落ちるとともに知的機能や認知機能に障害が起こり、

認知症のリスクが高まることが裏付けられと言えます。

しかし、歯を削って噛みにくくなっていたマウスの歯冠修復(噛めるようにした)を行い、

同様の実験を行ったところ、日を追うごとに悪化した記憶が回復し、

1週間後には到達時間は噛めるマウスに近づくことも判明しました。

つまり、高齢者の場合、抜歯後の手入れや義歯の不具合を修復して噛み合わせを治せば、

海馬機能が改善され、認知能力が向上する可能性が高いと言えます。

 

 

                      参考文献:新・口腔の生理から?を解く

 

 

鹿児島市で歯科をお探しの方は、ぜひ、ながやまデンタルクリニックへお気軽にご相談ください。

 

歯科衛生士 池ノ上

 

 



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