生理的咬合と非生理的咬合とはなにか?
2024/07/10
これまで理想的な咬合には形態的による基準やそれに関与するさまざまな条件が示されてきました。
それらの基準や条件から逸れている場合に治療するべきかが検討されてきており、その後、咬合は機能的に捉えるべきとして「生理的咬合」と「非生理的咬合」が広く知られるようになりました。
咀嚼器官の機能的な疾患の診断において、4つの区分が一貫性のある理論的裏付けとなり有用であるのに対し、この区分を応用しない診断は独断的で一貫性がなく、きわめて術者の主観的な評価に陥りやすいと忠告されています。
咬合基準における4つの区分
①理論的理想咬合:規定の基準に従っている咬合
②生理的咬合:想定の基準からは偏っているが治療を必要としない咬合
③非生理的咬合:治療を要するかもしれない咬合
④治療的咬合:治療上の理由から構造的に改変されている咬合
理想的な咬合および咀嚼器官の指標
①咀嚼器官の全構成要素が存在する
②全ての上下顎歯の間に〝典型的な〟解剖学的関係が存在する
③咬頭嵌合位において、すべての臼歯の支持咬頭は辺縁隆線と咬合する。ただし、対合歯の中心窩と咬合する下顎大臼歯の遠心頬側咬頭と上顎大臼歯の遠心舌側咬頭を除く。
④歯列は、基底骨および頭蓋顔面構造と調和している
⑤歯の長軸は機能的咬合力がこれらの軸に沿って、あるいはそれに近い状態で作用するように排列されている
⑥歯周組織は健康で、臨床的検査では歯のわずかな振動や動揺が認められない
⑦咬合は安定していて、歯にわずかな生理的補償的な動きがあるほかには移動や位置の変化はない
⑧歯にその個体の年齢に予想される以上の摩耗がない
⑨筋肉位は咬頭嵌合位と一致している。頭を直立した状態で、下顎を正確にいつも咬頭嵌咬位へと自動的に閉じることができる
⑩咬頭嵌咬位が中心位と調和している。つまり、2つの位置は一致してるか、咬頭嵌合位が正中矢状面で中心位よりわずかに(1㎜以内)前方にある
11前方運動時、臼歯は離開して、対合する前歯が正しく咬合、機能するのを妨げない
12側方運動時、非作業側の歯は離開して、作業側の対合する歯が正しく接触、機能するのを妨げない
13側方運動時、作業側の対合する犬歯が咬合するだけで、あるいは隣りの小臼歯1歯またはそれ以上が接触することがある
14下顎安静位では適切な咬合面間距離、つまり安静空隙がある
15咀嚼、嚥下、発音、審美性、呼吸のすべての要件が満たされ、患者が満足している
16咀嚼筋の持続性緊張活動は、睡眠時には減弱する
17異常機能活動はごくわずかで、つまり微小な相同的な筋活動が起こる
18加齢、状況変動に対して、自動的な構造、機能の適応が行われる
19食物の広範な種類に十分に対応して、多面的に咀嚼機能が営まれる
20咀嚼器官の構成要素に痛みや機能障害の所見がない
21患者は咬合や咀嚼器官について意識していない
次回は、生理的咬合についてお話します。
参考文献:咬合の謎を解く!なぜ、咬合力は見た目で判断できないのか? 著:中村 健太郎
参考文献:テキストブック オクルージョン 監訳:藍 稔
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歯科衛生士 山下
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