歯の機能を再考しよう! ~切歯~
2024/07/10
切歯は、食物を噛み切る(剪断)機能を備えています。これを咬断といいます。
発語や表情にも重要な役割を担っており、言葉を話す、表情を表わすというコミュニケーションとしての機能を担っています。下顎切歯は上顎切歯と相まって以下の役割を果たしています。
① 食物を捕食し、ハサミのように噛み切る
② 明確に発音する
③ 口唇を支え、審美的外観を保つ一助となる
④ 下顎切歯の切縁を上顎切歯の舌側面に合わせることで、閉口時において咬頭嵌合位直前に下顎を後方に誘導する
すべての歯冠の形態には、4つの側面と、前歯は食物を噛み切る切縁、臼歯は咀嚼する咬合面の5つの歯面を有するが、犬歯は咀嚼に直接関与しないため、5つ目の歯面を有しません。
切歯の特徴に、上顎中切歯では唇側の面に発達した隆線があり、隆線の間が深く陥凹する切歯を複シャベル型切歯といい、舌側面窩が深い切歯をシャベル型切歯と言います。
その出現頻度には人種差がみられ、いずれの特徴も日本人を含むモンゴロイド人種(黄色人種)に高く、コーカソイド人種(白色人種)や二グロイド人種(黒色人種)では低いです。したがって、日本人のシャベル型切歯は噛み切りやすい特徴を有し、かぶりつく箸の日本食文化と合致します。
また、欧米人は主にナイフとフォークの食生活であり、エチケットとして食物にかぶりつかないのも合致する事は興味深い話です。
☆咬断☆
切歯で咬断する咬合位(上下の歯が接触している時の上顎に対する下顎の位置関係)を咬断位といいます。咬断は、上下の切歯の舌側面の隆線がハサミのように合わさり、食物を噛み切る行です。
中切歯の歯根膜は機械的刺激の感受性が最も高く、さらに、唇側歯根膜の歯冠側1/2では根尖側と同様に神経束が集中し、唇側に対して直交0.5~0.6g程度の加重であっても感知でき、咬合力をコントロールする機構を備えており、咬断によって上顎切歯に咬合性外傷が起こらないようになっています。
長年の咬断によって、下顎切歯の唇側切歯斜面と上顎切歯の切縁結節舌側面に咬合小面がみられるようになります。
《POINT》
切歯の歯科補綴治療では、下顎切歯の唇側切縁面と上顎切歯の切縁結節舌側面から舌側面隆線にかけて、ハサミの関係(咬断)が成り立つように、オーバーバイト(咬み合せの深さの度合い)およびオーバージェット(突出の度合い)を歯軸合わせて調整あるいは設定する必要があります。
参考文献:咬合の謎を解く! 著:中村 健太郎
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歯科衛生士 池ノ上
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