放置すると危険?気づきにくい大人むし歯とは?
2024/07/10
放置すると危険?気づきにくい大人むし歯について
鹿児島の歯医者「ながやまデンタルクリニック」の歯科衛生士です。
むし歯になると、歯が変色したり、歯に穴が空いたり、痛みを感じたりという自覚症状が現れます。しかし、中年以降に多く見られる「大人むし歯」については、痛みなどの自覚症状がほとんどなく重症化するため、注意が必要です。
今回は自覚症状がほとんどなく進行する大人むし歯についてお話したいと思います。
子供のむし歯と大人のむし歯について
【子供のむし歯】
子供や若年層がなるむし歯は、歯に穴があいて痛みを感じるなどの比較的分かりやすい自覚症状が特徴です。子供や若年層のむし歯は「急性う蝕」といい、症状の進行が速く、神経にまで進行する期間が短いため、早期発見・早期治療が重要となります。
子供は歯は未成熟でブラッシングもきちんとできないこともあり、特に奥歯の乳歯や生え変わったばかりの永久歯は歯の溝が多いため、そこに汚れが蓄積しやすく、むし歯リスクが高くなってしまいます。
【大人のむし歯】
大人になると、歯の抵抗力も高くなるため、歯の溝部分からむし歯が進行するケースは少なくなります。しかし、むし歯のリスク自体が減少するというわけではなく、発生しやすい場所が変わり、さらに自覚症状がほとんどなくゆっくり進行するという「慢性う蝕」が主流になります。
大人のむし歯(慢性う蝕)については下記の「二次カリエス」と「根面う蝕」という2つのケースが多くなります。
【二次カリエス】
二次カリエスとは、過去の治療で入れたつめ物・かぶせ物の下で再発したむし歯を指します。経年によるつめ物・かぶせ物の変形などによって土台の歯との間に隙間が生じると、そこからむし歯菌が侵入し、むし歯が再発してしまいます。
特に根管治療によってすでに神経を抜いている場合は、痛みや違和感なども感じないため、自覚症状がなく重症化する可能性が高いです。
【根面う蝕】
根面う蝕とは、歯の根の部分がむし歯の状態です。大人になると、加齢や歯周病、強いブラッシングや噛み合わせなどの様々な理由で歯茎が下がり、歯根部分が露出してしまいます。本来、歯茎に覆われている歯根面はエナメル質がなく、象牙質のみで形成されているため、むし歯になりやすく、進行が速いという特徴があります。
大人むし歯のリスクが高い人の特徴について
治療部分が多い
過去の治療によってお口の中につめ物やかぶせ物が多い場合は、つめ物・かぶせ物の変形などによって適合が悪くなり、二次カリエスになるリスクが高くなります。
歯茎が下がっている
加齢や歯周病、強いブラッシングや噛みあわせなどが原因で歯茎が下がっている場合は、歯根面が露出するため、根面う蝕のリスクが高くなります。
歯ぎしり・食いしばりなどの癖がある
就寝時の歯ぎしりや食いしばりなど、噛み合わせが強い場合は歯に大きな負担がかかります。歯や歯茎への大きな負担によって歯にひびが入ったり、くぼみや隙間が生じたりするため、むし歯リスクが高くなります。
口腔内が乾燥しやすい
加齢や喫煙、お薬の副作用によって唾液の分泌量が低下するとお口の中が乾燥してしまいます。お口が乾燥すると、唾液の殺菌作用が低下するため、むし歯リスクが高くなります。
間食が多い
間食が多い方は食べカスなどが蓄積しやすく、お口が酸性に傾く時間が長くなるため、むし歯リスクが高くなります。
アルコールの摂取量が多い
お酒を良く飲まれる方は、アルコールの利尿作用によって口腔内が乾燥しやすくなるため、唾液の殺菌作用が低下してしまいます。また、酔っ払ったまま歯磨きをせずに寝てしまうということもあるため、注意が必要です。
大人のむし歯は、上記のとおり気づかずに重症化するという特徴があります。日頃からきちんとケアをし、定期検診などを受けて予防をはじめ、早期発見・早期治療に努めましょう。
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